千代田区 御茶ノ水 神田 小川町の心療内科・精神科 駿河台こころのクリニック 「あがり症」克服のために その2 「コンビニでおでんを注文しましょう」

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「あがり症」克服のために その2 「コンビニでおでんを注文しましょう」

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「あがり症」克服のために その2 「コンビニでおでんを注文しましょう」

2017年10月06日

こんにちは。

 

前回の続きです。

「あがり症」には暴露療法が有効です。つまり「苦手な場面を避けないようにする」(回避行動をしない)ことです。

会議が苦手なので会議は毎回欠席する、外食が苦手なのでコンビニ弁当を買って帰る、トイレなどで中座する時のことを考えて映画館では通路側に座るなど・・・自分ではいつものスタイルになっているので、あまり意識しないでやっている場合もあります。

「苦手な場面を避ける」ことを繰り返すことによって、苦手意識がどんどん強まっていきます。従って、「苦手な場面を避けない」ことは「あがり症」克服のためには重要なことなのです。

暴露療法とは、苦手な場面に「慣れる」、つまり不安に感じていたけれども、実は「たいしたことではない」ことに気づいていくこと、とらえ方(認知)を変えるための方法です。

慣れるためには、繰り返し挑戦する必要があります。「月に1回の会議」のように、あまり間隔が長いとなかなか「慣れ」が定着しにくいと思います。しかも、最も苦手なものであればなおさらです。

そこで、日常生活の中で他に「避けている」ことがないか考えてみてください。「あがり症」の人の多くは、会議に限らず多くの場面で回避行動をしています。「月に1回の会議」に挑む前に、日常生活の中の苦手なものに挑戦してみてください。

例えば、コンビニです。

コンビニのサイドメニューを注文してみましょう。

ちょうどこの時期は、サイドメニューとして、おでんや肉まんなどが売られています。

今、レジには会計待ちのお客さんが数名並んでいる状況です。自分の会計の順番になりました。この状況で「おでんを注文できますか?」

「後ろに数名並んでいる。早くしろよ。おでん注文しやがって。時間がかかるだろ、って思われるかも知れない」と考え、特に混んでいる時には、おでんが食べたくても我慢していませんか?

しかし、この考えには何の根拠もありません。

確かに急いでいる人は「早くしろ」と考えるかも知れません。しかし、全員ではありません。「前の人、おでん注文したんだ」と気がつくだけで何も思わない人もいます。また、「自分も注文しようかな」と思う人もいるかも知れません。店員は「自分が仕込んだおでんが売れて嬉しい」と思うかもしれません。さらに、「混雑時はサイドメニューの注文は控えてください」と店内に張り紙してある訳ではなく、ルール違反ではありません。

つまり、「混んだコンビニでおでんを注文することは悪いこと」という考えは誤りなのです。

以前、この質問をしたとき「おでんは無理だけど、肉まんなら注文できる。肉まんは手間がかからなそうだから」と答えた方がおられました。

「おでんはダメだけど、肉まんな迷惑がかからない」これが正しいという根拠はどこにもありません。ただ、肉まんの注文の方が不安が少なければ、それからチャレンジしても良いと思います。

このように、苦手意識は根拠のない考え(自動思考)によって作られています。

そして、コンビニなど日常生活の中でも「あがり症」克服のためのトレーニングが可能です。これを繰り返していくうちに、自分が考えていたほど不安になったり恐れたりすることではないことに気づいていきます。

寒い季節になってきました。トレーニングついでにおでんを食べてみてください。

☆おでん食べたいなぁ☆