強迫性障害について
強迫性障害とは、自分の意思に反して不快な考え(強迫観念)が頭に浮かび、その不快な考えや気分を振り払おうとして、同じ行動(強迫行為)を繰り返してしまう精神疾患です。
手洗いや確認を何度も繰り返すなど、誰でもある程度はやりがちな行動なのですが、それが習慣的、かつひどくエスカレートして日常生活に支障が生じるほどになると、それは強迫性障害という疾患です。
そして、本人が自分の不合理な行動について「こだわりすぎ」なことは自分でも十分に自覚しているにもかかわらず、その自覚に逆らって不合理な考えが浮かんでそれにとらわれ、こだわらずにはいられなくなるのです。
強迫性障害になると、焦りや落ち込みを感じ、また自分ではどうしてよいかわからなくなって正常な社会生活がおくれなくなってしまうこともあります。
こころの病気であることに気づかない人も多いのですが、治療によって改善する病気です。「しないではいられない」「考えずにいらない」ことで、つらくなっていたり不便を感じたりしたときには、お気軽にご相談ください。
強迫性障害の原因
発症には、性格、生育歴、ストレスや感染症など、多様な要因が関係していると考えられていますが、なぜ強迫性障害になるのか、はっきりとした原因はわかっていません。しかし、なぜ症状が続くのか、なにが影響して症状が悪化するのか、などについては解明が進んでいる部分もあり、積極的に治療に取り組めば治すことも可能な精神疾患となっています。
強迫性障害の治療
強迫性障害の治療は、薬物療法と認知行動療法の2つの療法が中心になります。
患者様の多くは、強迫症状や抑うつ、強い不安感があるので、まず抗うつ薬のSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)で状態を安定させてから、認知行動療法に入るのが一般的です。薬はうつ病よりも高用量で、長期間の服薬が必要です。最初は少量から始め、薬との相性を見ながら服薬量を増やしていきます。
認知行動療法では、再発予防効果が高い「曝露反応妨害法」が代表的な治療法です。患者様が強迫観念による不安に立ち向かい、やらずにはいられなかった強迫行為をしないで我慢するという行動療法です。例えば、汚いと思うものをさわって手を洗わないで我慢する、留守宅が心配でも鍵をかけて外出し、施錠を確認するために戻らないで我慢する、などです。こうした課題を自らに課していくと、強い不安が次第に弱くなっていき、やがて強迫行為をしなくても平気になってきます。