断酒の目標は…
2015年03月12日
こんにちは。
当院HPの「アルコール依存症」の項にも書きましたが、アルコール依存症の治療目標は節酒ではなく断酒です。
この話をすると、「これから先、ずっと酒を飲まないなんてできっこないよ。多分どこかで飲んじゃうと思います。」
「今まで毎日のように酒を飲んでいた。巷には酒があふれている。生きてりゃ嫌なことだってたくさんあるし・・・」
と言われる方がほとんどです。
そう思うのは無理もないことです。
今から死ぬまでずっとと考えると気が遠くなるし、明日のことさえ分からないことばかりですから。
「目標は低く短く」を思い出してください。
明日やもっと先のことは置いておいて、まず今日一日断酒してみましょう。
飲みたくなったら、「明日にしよう」と考えてください。
これが「一日断酒」です。
これを、ただ繰り返すだけです。
そうしながら、今までの断酒の最長は1週間だったとすれば、その記録更新を目指してください。
自己ベストを更新したら、次は1ヶ月、3ヶ月、半年、1年です。
ここで、「アルコール依存症治療を受け病院を退院した人の断酒率の推移」をみてみます。
すみません、出典は忘れてしまいましたが、どこの施設でもほぼ同じ傾向になるようです。
入院治療を受け、「よし、退院してからも断酒をするぞ」と誓ったにもかかわらず、月日が経つにつれ、断酒率は下がっていきます。酒を飲み始めるということです。そして、1年後にはなんと8割近くの人が再飲酒しています。
これをみると、「8割の人が失敗しているのなら、俺は無理だ」と思うかも知れません。
しかし、1年後以降をみてください。グラフはほぼ真横になっています。
つまり、1年間断酒ができれば、それ以降も断酒を続けられる可能性が随分高くなるのです。
では、この1年はどんな1年でしょうか?
嫌なことがあったら酒を飲む、誘われれば酒を飲むという今までのパターンを変えていく1年です。
嫌なことがあったら、友人に相談する、カラオケに行く、というのも良いでしょう。
誘われたら、「せっかくだけど、肝臓を悪くして、ドクターストップがかかっているから」でも良いでしょう。
どんな時に飲酒していたか、どんなことが誘惑になっていたかなどのきっかけ、酒害をしっかり自覚しながら、最低1年間断酒に取り組み、賢い断酒の方法を身につけてください。
「酒なんかなくても人生は楽しめる」はずです。
☆ 目標はJリーガー ☆