薬物治療について再び その1
2016年08月19日
こんにちは。
「できるだけ薬は使いたくない」
「薬を使い始めるとやめられなくなるのでは」
このように、薬物治療への不安を持っている方がたくさんおられます。
薬物治療については、2015年2月にも書きましたが、もう一度お話します。
薬は最小限にというのが当院の方針です。
薬にはメリットとデメリットがあるからです。
不安、不眠、気分の落ち込みなどの症状がある場合、考え方の修正や環境の改善、生活習慣の見直しなどによって改善するかどうかを見極めます。
また、薬を処方した場合、必要以上にたくさん使うなど薬を適切に使用できるかどうか、という点も重要です。
それから、薬の副作用を考えます。薬の多くは肝臓で代謝されますから、肝機能はどうか、生活に影響するような眠気は出ないか、便秘は・・・など。
結婚や出産を控えている女性の場合は、投薬は特に慎重に行います。正直なところ、薬は使いたくありません。
依存性についてもよく質問されます。
依存性に特に注意しなければならないのは、ベンゾジアゼピン系という種類の睡眠薬と抗不安薬です。薬理学的な依存性とともに、使用する状況的にも依存を形成しやすいからです。
電車の中で「また発作が起こったらどうしよう」といった予期不安が強い場合、必要以上に薬を飲んでしまうことがあります。そして、薬に頼りきってしまいます。
この「不安」という症状が強いと、拠りどころとなる「薬」を手放しにくくなる傾向があります。
抗うつ薬にも依存性はあります。
抗うつ薬は、意欲や気分の改善だけでなく不安症状に対しても効果があります。それから、SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれる薬などで、減薬の途中でイライラ、落ち着かないなどの症状が出る場合があります。これは、禁断症状のようなものです。精神的には依存していなくても、このような身体依存を形成していることがあります。
このように、薬物治療の必要性、服薬遵守や副作用面など安全な使用ができるかどうかなど、使い始めから減薬までを考えながら判断していきます。
次回につづきます・・・