認知行動療法について(3)
2015年02月26日
こんにちは。
前回の続きをお話します。
自分の考えや行動のパターンを知り、それを修正する方法として、記録表をつけましょうというお話をしました。①きっかけとなった状況、②感情、③自動思考、まで記録しました。今回は、その続きです。
直観に頼る、第一印象、直観は大切だなどという人がいます。2枚の札から当たりの1枚を選ぶという2択で直観に頼るのはよいでしょう。こちらの札が当たりだという情報も根拠もないからです。
ところが、人やものごとを第一印象で決めることには問題があります。なぜなら、その判断が正しいという根拠が全くないからです。
「怖そうな顔をしていたから、黒い服を着ていたから、あの人は悪い人だ。」とその人を避けるようになった。このようなことは少なくありません。また反対に、「出会った瞬間に、かっこ良くて、優しそうで、運命の人だ。」と思い、その後めでたくゴールイン、という人もいるでしょう。
ある第一印象からスタートして良い結果に至った場合、その人にとって第一印象はとても重要なツールとなるでしょう。しかし、「運命的な出会い」をしたとしても、冷めた言い方をすれば、初対面での好印象から、自分の都合の良いように思い込み、突っ走り続け、幸せになったという単なる偶然です。そして、この自分に都合の良い思い込みが、いろいろな苦境においてもポジティブな思考を持続させ、幸せに導いていったのではないでしょうか。
結果良ければ全て良しで、その人が幸せになったのならそれで良いのですが、元をたどれば、なんの根拠もないところからスタートしているのです。
反対に、ネガティブな直観からスタートして行くと、大切なものを自分から遠ざけたり、苦手意識をどんどん膨らませ、居づらさやストレスを感じたりするようになるかも知れません。
話が長くなりましたが、このように直観、第一印象、イメージと呼ばれるものには全く根拠がないということ、そしてその後のその人やできごととの関わり方に大きな影響を及ぼすということです。これが、「自動思考」です。
「きっかけ⇒自動思考⇒気持ちや行動」 の最後の気持ちや行動を変えるために、この自動思考をしっかり意識し、吟味する必要があります。すなわち、自動思考の根拠をさぐることです。
そこで、前回の①~③の続きです。
④自動思考を裏付ける根拠・理由、⑤自動思考の反対の根拠・理由(反証)を記録しましょう。
<前回と同じ例です。>
東京本社勤務。全国に支店がある。そろそろ異動の発表がある時期。子供も小学校にあがり、学校にも慣れ仲のよい友達もできたところ。子供のことも考え、できれば本社勤務を続けたいと思っている。しかし、なかなか仕事の成績が伸びず、昨日も上司に呼び出されそのことを注意されたところ。
【記録表】
①できごと:
2月25日、朝9時頃。いつものように、9時前に会社に到着。「おはようございます」と挨拶をしながら、入室した。数名は挨拶を返してくれたが、近くのデスクの同僚2人は、チラッとこちらを見ただけで、何やらこそこそと小声で話をしていました。
②感情・気分:
悲しい(80%)、不安(70%)、怒り(80%)。(強さを%で評価します)
③自動思考:
自分のうわさをされている。(80%)
(成績が悪い、上司に注意された)自分のことを馬鹿にしている。(80%)
自分の異動が決まったんじゃないか。(70%)
④根拠:
挨拶を返してくれなかった。
異動の時期だ。
仕事の成績が悪い。
上司の注意を受けた。
⑤反対の根拠:
彼らは、自分の後に入室した人にも挨拶を返していない。
自分だけじゃなく、毎年社員の1割程度が異動する。
今は不況でどこも当社との契約をしぶっている。
先週、別の社員も注意を受けていた。
いかがでしょうか。まだ続きますが、今回はここまでにさせていただきます。