こんなことで受診してよいのだろうか・・・
2017年10月27日
こんにちは。
初診の方で予約の電話をされた時や診察が始まった時、開口一番「こんなことくらいで受診してよいのかどうかわからないのですが・・・」と言われる方が時々おられます。
「自分の抱えている問題や悩みは、大したことではないかも知れない。こんなことくらいで病院を受診するのは大げさじゃないか。周りのみんなは頑張っている、自分で解決すべき問題ではないか。先生に失礼かもしれない。怒られるかもしれない」と考えておられるのだと思います。
このように考える方は、元来生真面目で、何か問題が生じた時に自分のせいにしたり、自分で抱え込もうとするところがあるように思います。そして、「病院を受診するからには、それなりの重い症状がなければいけない」という考える、つまり「患者らしくする」あるいは「患者役に徹する」必要があると思っているのかも知れません。
ところが、実際に診察室でお話を伺うと、「こんなこと」どころか問題はかなり大きかったり、うつ病であったりすることが多いです。また、たとえ客観的にみて解決が容易だと思われる悩みごとでも、まだ解決に至っていないご本人にとっては大きな悩みごとです。
話してみることで、頭の中が整理され解決のヒントに気づいて、1回の受診だけで薬も使うことなく終診となる方もたくさんおられます。
「こんなことくらいで」と思わず、悩みごとがあれば遠慮なくご相談ください。
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ネガティブ思考、マイナス思考を変える
2017年10月23日
こんにちは。
『職場の上司が咳をしただけで「自分のことを怒っているのではないか」と思ってしまう』
『友人と遊びに行った後「楽しかったね」と言ってくれたけど、私に気をつかって言っただけかも知れない』
このように、「なんでもネガティブに考えてしまう」という方はたくさんおられます。よくネガティブ思考やマイナス思考などと言われますが、いわゆる「自動思考」のことです。
できごと ⇒自動思考
「上司が咳をした」⇒「自分のことを怒っているのではないか」
「友人が楽しかったねと言った」⇒「本当は楽しくなかったのではないか」
自動思考には、長年の経験や信念などが関係しており偏り(パターン)があります。まずは自動思考に気づくことが大切ですが、その後の修正には少し時間がかかります。
「自分のことを怒っているのではないか」⇒「問題があれば注意されるはずだが、何も言われないので大丈夫だろう」
「本当は楽しくなかったのではないか」⇒「彼は正直者だから、言葉通りに受け取ろう」
これは修正の一例ですが、頭の中だけで修正を試みるより、ノートを作って書いた方が良いです。書き出してみると、いかに自分が同じような思考パターンに陥っているかが良く分かります。また頭の中だけでは、良い考えが浮かんでも定着する前に消えてなくなってしまいます。また、その修正が適切なものか、他に良い方法はないかについてアドバイスをもらうのが良いと思います。
当院では、ノートをみながら自動思考の修正について一緒に考えるようにしています。なかには、表にマイナス思考、裏に修正した思考を書いた単語帳を作っている方もおられます。良いアイデアだと思います。
「マイナス思考」に挑戦してみてください。
薬物治療について その2
2017年10月17日
こんにちは。
前回の続きです。今さらですが、もしかしたら以前も同じようなブログを書いたかも、とちょっと心配になってきましたが、気にせず続けます。
当たり前のことですが、まず大切なのは薬物治療について正確な情報を得ることです。
「精神科 薬物治療」というキーワードでネット検索する、また書店で病気の治療のコーナーに行ってみるなど、たくさん情報があります。しかし、どれが適切な情報なのか分からない。しかも、情報を正確に理解するのは難しいことです。例えば、「多くはAですが、稀にBになることがある」という情報があるとします。これを聞いて、「多分Aだろう」と思う人もいれば、「Bだったらどうしよう」とBのことばかり気になってしまう人もいます。つまり、ある情報が与えられても、その時の状態や捉え方の癖などで、頭に入っていない部分やある部分だけが強く印象付けられることがあります。
いろいろな情報源がありますが、一番良いのは担当医師に相談することだと思います。自分が薬物治療に不安を感じていること、それはどんな不安なのか、他の治療法はないのか、など遠慮なく相談してください。
「薬を飲むのは不安です」
(薬を飲むのは不安なんですね。どんなことが不安ですか?)
「副作用のことです。飲み始めると、頼ってしまってやめられなくなるんじゃないかとか、昼間眠くて仕事にならないんじゃないかないかとか」
(薬の依存性や日中の眠気などの副作用のことが気がかりなんですね)
「はい。薬を使わないで治す方法はありますか?」
薬物治療に限らず、担当医師としっかりコミュニケーションをとるということはとても重要です。
当院では、まず症状などについて「問診」し、「診断結果」を伝えます。次に、環境調整、気分転換、薬物治療、認知行動療法など「治療方針」ついて説明します。
私自身は、「薬物治療はできるだけ行わない」を原則にしています。
しかし、疾患や状況によっては、薬物治療を行った方が早くそして苦痛を感じずに回復に向かうと考えられる場合もあり、その場合は以下のように治療の必要性について説明しています。
まず、薬物治療がなぜ必要と考えるのか、薬の効果、メリット、副作用とその出現頻度などについて説明します。薬物治療への不安や心配がないかどうかも確認します。そして、薬を使った方が良いと思われる場合でも、不安やその他の理由で薬を使うことへの抵抗感があれば、しばらく薬物治療は行わずそれ以外の治療を試みます。その次以降の受診時に、再度説明しそこから開始する方もたくさんおられます。
薬物治療を行う場合は、治療効果も重要ですが、安全性を特に重視しています。ある薬を(十分量、一定期間)使用しても効果がなければ、中止、変更します。もし何らかの副作用があれば、減薬、変更、中止します。そして、症状が改善すれば減薬、中止します。
「受診された方が自分の家族だったら」と考えながら薬物治療を行っています。
☆今日は寒いしまだ眠たい☆