スピリチュアルケアについて(2)
2015年05月27日
こんにちは。
前回に引き続き、今回もスピリチュアルケアについてお話します。また、勉強会で使用したスライドを掲載します。
もし、自分の家族や親しい友人ががんなどの病気にかかり、余命いくばくもないと宣告を受けたとしたら、どのように接するでしょうか?・・・かける言葉が見つからないという方も多いと思います。
スピリチュアルペインを表出する方は半数程度と言われており、「自分はやれることは全て成し得た。思い残すことはない」と言える人は少ないと思います。また、もしそう口にしたとしても本心は分かりません。
山崎先生は、スピリチュアルケアとは、自分自身を見つめなおしたり、振り返ったり、またキリスト教や仏教などのハイヤーパワー(higher power)への信仰を持つことなどで、生きる意味や目的を見つけ出せるように手助けをすること、と定義しています。
では、家族や友人である私たちはどうすればよいか。
「援助的コミュニケーション」を用いながら、その人の本当の思いを引き出したり、悲観的になり過ぎていたとしたら修正したり、目標を修正し達成感を得られるようにします。
そのために、いくつかのテクニックを用います。
(1)うなずく: 日常的によく使われる技法で、あなたが言ったことはしっかりと伝わりましたよ、あるいは同感ですということを簡単に伝えられるジェスチャーです。
(2)反復: いわゆるオウム返しです。
(例)Aさん「・・・だと思うんです」Bさん「・・・だと思うんですね」と相手が言ったことを繰り返すことです。これも、しっかり伝わったことを伝える技法です。
また、反復について学んだとき、間違ったやりとりとしてよく取り上げられていた例があります。
Aさん:「私、もうダメかも・・・」
Bさん:「何を馬鹿なこと言ってるの。頑張らないとだめじゃないの」
これだと、BさんはAさんの思いを否定したことになるようです。
そして正解例は、
Bさん:「ダメだと思うくらい辛いんですね」さらに、「何が一番辛いのですか?」のようです。
(3)沈黙: あまりに辛い気持ちになると、言葉に詰まる、言葉にできないことがあります。深刻な場面でもないのに、しんと静まり返る雰囲気が気まずくてしゃべり続ける方がいます。しかし、沈黙には重要な意味があります。考えを整理したり、気持ちのたかぶりを静めたり。そんな時に、「元気出しなさいよ」などといった言葉で沈黙を埋めようとするのは全く逆効果です。むしろ、返す言葉に困ってそんなありきたりの言葉を言わせてしまった自分をさらに責めてしまうかも知れません。沈黙を大切にし、相手が話し始めるのを待つ、あるいは「言葉にならないくらい辛いんですね」という声かけをするのが良いでしょう。
研修会で、沈黙はコミュニケーションスキルの1つですって学んだとき、なんだかあまりにスマート過ぎて無情な感じがしました。実際、辛い気持ちでいる方を前にしたとき、沈黙をスキルとして使うというより、かける言葉が見つからない、結果的に沈黙になってしまったということが何度もありました。
コミュニケーションは、言葉だけではありません。
「何を馬鹿なことを言ってるの」という不正解の声かけをしたとしても、信頼関係がしっかり築けている家族、友人であれば問題ないように思います。
大切なのは、その場にいること、寄り添うことです・・・
次回、続きをお話します。
☆今日は病院・・・お散歩じゃないのに喜んでます☆