初心に帰る
2017年01月05日
新年あけましておめでとうございます。
ここ数年、毎年初詣は神田明神に行っています。
今年は、例年より早めに出かけたにもかかわらず、この通り長蛇の列。警察官が入場整理をしていて、ここまでたどり着くのに1時間近くかかりました。
当院は、昨日から診療開始していますが、昨日も今日も朝クリニック周辺の道を同じ方向に向かって歩くサラリーマンの集団をたくさん見かけました。この周辺の会社は、部署ごとにまとまって神田明神に初詣に行っているようです。
新年になると気持ちが改まるものです。
1か月前の話ですが、12月5日で開院から2年を迎えました。
「初心に戻って」とよく言われますが、研修医時代を振り返って当時の恩師、先輩方から教わったことの中で、印象に残っている言葉があります。その1つが、「患者さんから学べ」という言葉です。
当時の私は、眠れない、食事がとれない、何もする気になれない、など症状を詳しく聞き出すことだけが診察だと思っていました。また、若い医師は生物学的、薬理学的なアプローチ、つまり薬物治療に強い関心を示す傾向があるように、かつて私もそうだったように思います。
いくら難しい専門書を読みあさったとしても、それは平均的なケースに関する知識に過ぎません。知識や医学的な根拠は重要ですが、こころの問題はそれだけでは解決されません。その方のこれまでの人生、今置かれている環境、考え方の癖などさまざまなことが関係しています。教科書にそのようなことは書かれているはずもありません。また、薬物治療は大切な治療法の1つですが、それだけで人間関係の問題などが全て消えてなくなる訳ではありません。
患者さんから「良くなりました」と言われる感謝されることもありましたが、反対に厳しい言葉をもらうこともありました。まだ20代の私に、「先生はまだ若いから分からないだろうが、歳をとるとね・・・」と老いることによる孤独感、身体機能の衰えの辛さ、大切な方との死別体験などを語る方もおられました。
・・・あれから25年経ちました。
診察するということは、症状としてとらえるだけでなく、その人を知り、診ることができなければならないということだと分かってきました。
今、あの時の患者さんにお会いしたら何と言われるだろうか。おそらく、こう言われるだろう。
「先生はまだ若いから分からないだろうが、歳をとるとね・・・」
今年もよろしくお願いいたします。
☆よろしくお願いします☆