千代田区 御茶ノ水 神田 小川町の心療内科・精神科 駿河台こころのクリニック 怒りのコントロールに挑戦(1)

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怒りのコントロールに挑戦(1)

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怒りのコントロールに挑戦(1)

2015年02月05日

こんにちは。
毎日平穏に過ごせると良いのですが、なかなかそうはいかないものですね。
自分は普通にしているつもりでも、職場で上司に理不尽なことを言われたり、道で誰かとすれ違う時にドンとぶつかったり、店で注文したものと違うものが届いたり・・・中には、自分には直接関係ないこと、例えば赤信号なのに道を横断している人をみてイライラする人もいると思います。

今日は、「怒り」のコントロールについて、以前使用していた「怒りのコントロール・トレーニング」というテキストを参考にお話します。

喜怒哀楽というくらいですし、「怒る」ことは正常な感情の1つです。ですが、怒った後にすぐ「攻撃的行動」を起こすのは問題です。攻撃的行動とは、暴言を吐く、暴力を振るう、物を壊すことです。ですから、怒りの感情を持ったとしても、攻撃的行動に移さないようにコントロールをする必要があります。

では、怒りの原因は何でしょうか?
「自分はちゃんとしているのに、あいつがあんなことをするから」と、相手や自分以外の何かの責任と考えることが多いと思います。しかし、同じ状況でも、すべての人が同じ反応をするとは限りません。ひどいことをされても、全く気にしない人も中にはいるのです。同じ出来事、状況に対する反応の違いはどこからくるのでしょうか?

私たちは、親からの教育や現在までに経験したことから、いろいろなことを学習し、信念、つまり自分の価値観のもととなるルールが植えつけられます。例えば、
①人間はみな平等であるべきだ。
②男は強くたくましくなければならない。
③自分は常に人から認められるはずだ。
④問題は、放っておけばそのうち解決するだろう。
⑤みんなルールを守るべきだ。 などです。

自分の中にあるこれらの信念から外れた出来事があると、怒りが生じます。例えば、①を強く思っている人は、コップに注がれたお茶が自分だけ少ないことに怒りを感じ、⑤に強いこだわりを持っている人は、交通ルールを守らない人に腹を立てます。
③のように、誤った信念もありますが、①や⑤などは、特に間違ったものではありません。①のように、皆が平等な暮らしができれば良いと思います。しかし、実際はそうではありませんし、おそらく不可能なことです。このように、間違ってはいないけれども、そのことにとらわれ過ぎると怒りにつながってしまいます。

自分はいろいろなことで怒りを感じやすいという方は、自分に備わった信念を洗い出してみると良いと思います。

また、怒りの感情に続く攻撃的行動は、表現方法の1つであり、また何かを守ろうとする手段の1つという役割があります。自分が不満に感じていることがあると伝えたい、それから、ライオンから身を守るためにゾウが威嚇するように、自分が大切にしているものや弱い部分を攻撃されないように守っているのです。

攻撃的行動が表現方法1つであるとすれば、言葉を用いたコミュニケーション・スキルを身につける必要があります。

さらに、自分の中の何を守ろうとしているのか、について考えてみる必要があります。怒りを感じやすい方の中には、自己評価が低く、自分に自信がないという方も少なくありません。そのような背景があると、何かで少し注意を受けただけで、「自分のことを馬鹿にしているのか」と感じ、怒ってしまいます。自信を失ったのはなぜか、自己評価を下げるような信念を持っていないかということに焦点をあてることも、怒りのコントロールの1つです。

繰り返しになりますが、怒りの感情を持つことは普通のことですが、それに続く攻撃的な行動が問題です。職場や家庭での立場を悪くしたり、それが飲酒の引き金になってしまうことがあるからです。

「あいつがあんなことをするから」「あんなことがなかったら」・・・自分の周囲に怒りの原因があると思いがちです。しかし、それは単なるきっかけに過ぎず、怒りやそれに続く非生産的な行動に発展させるのは、自分の中の信念が大きく影響しているのです。

信念から始まる負の連鎖とその対処については、後日お話します。

☆お友達とおでかけしました☆
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