千代田区 御茶ノ水 神田 小川町の心療内科・精神科 駿河台こころのクリニック 「あがり症」克服のために その4「いつもと違う席に座る」

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「あがり症」克服のために その4「いつもと違う席に座る」

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「あがり症」克服のために その4「いつもと違う席に座る」

2018年02月19日

こんにちは。

皆さんは、映画館、カフェ、新幹線などを利用する時、座席をどのようにして決めていますか?

まずは映画館。

「前過ぎると首が疲れる。好きな俳優が主役の映画だし、いい場所で。できるだけ真正面から観たい」とスクリーンの真正面の席を選ぶ。あるいは、「映画が終わってから予定があるので、混雑する前に早く出られるように」と通路側、出口付近の席を選ぶ。と人それぞれです。

ところが、「あがり症」の方は通路側を選ぶことが多い傾向があります。その理由の一例です。「真正面の席に座っていて、もし映画の途中でトイレに行きたくなった時、何人かの観客の前を横切らなければならないから」「映画を楽しんでいる人の迷惑になるから」

「人の迷惑になるから」というのは、これまで(その1~3)お話ししてきた「自動思考」の部分です。コンビニの例と同じように「映画の上映中は、トイレに行くことを固くお断りいたします」というルールはありません。他の観客から苦情を言われた訳でもないはずです。

同じ理由で、新幹線も通路側を選ぶ方が多い傾向があります。

カフェはどうでしょう。よくある座席の配置は、店の外向きに座る席と2~4人がけのテーブル席です。1人の時はどこに座りたいですか?これはいろいろ意見が分かれます。

「空いていれば、窓側席の端」もしくは「2人がけのテーブル席」という方がほとんどです。これには、「あがり症」かどうかだけではなく、程よいパーソナル・スペースかどうかということも関係していると思います。

ところが、「1人なのに、どうして2人がけのテーブルに座っているの、と誰かに思われるのではないか」という自動思考によって窓側の席を選ぶ方がいます。

また、2~4人がけのテーブルがいくつも並んでいるような配置で、隣の席に家族連れやグループが座っているような席が苦手という方もいます。同じ人数でも、家族なら大丈夫だが大学生くらいの友達同士だとダメ、と関係性が気になる人もいます。

この時の自動思考は、おそらくこのようなものだと思います。「隣の人が自分の食べ方や行動、服装に注目しているのではないか。批判されるのではないか」「幼い子供連れの家族なら、子供の方に意識が向いているからまだいいけど」

こうしてみていくと、「自動思考には根拠がない」こと、そして人は「自動思考に影響されて生きている」ことにあらためて気づかされます。

では、この自動思考を変えていくためにどうするか。

やはり、徐々に慣らしていくこと(段階暴露)がよいでしょう。不安、苦手意識に点数を付けて、簡単なレベルからチャレンジします。

映画館の場合、通路側の席から始めて1つずつセンター寄りに座るようにしていきます。トレーニングは、できるだけ手軽に繰り返しできる方がよいので、カフェ、電車や待合室などでやってみるとよいと思います。

自分の中で作られた根拠のない考えのために、映画やカフェでのひとときまでも楽しめないのは、とてももったいないことだと思います。

「いつもと違う席に座る」ちょっとやってみてください。

☆ボクの席はここ☆

☆お出かけ準備完了☆

自己評価を高めるために

2018年01月30日

こんにちは。

今年になってはや1か月が経とうとしています。

たいへん遅くなりましたが、本年もよろしくお願いいたします。

 

さて、今日はちょっと「自己評価」という難しいテーマについてお話しします。

「落ち込みやすい」「自信を失いやすい」「イライラしやすい」

これらの症状は、うつ病や躁うつ病(双極性障害)などの気分障害でもみられるものですが、「自己評価の低さ」から起こることもあります。

例えば、会社や学校で、周囲の人と比較し「みんなはうまくやっているのに、どうして私は・・・」と落ち込んでしまう。また、頑張って成果物を提出しても上司からの評価がないと、「いくら頑張ってもダメなんだ」と自信を失ってしまう。営業成績がトップの同僚と目があった時、「見下されたような気がして」イライラした、など。

「自己評価の低さ」の原因はさまざまです。これまでの人生において、周囲から受ける必要のない批判を受けたり、否定する必要のないことで自分を責めすぎたり、褒めてもらうべきところを褒めてもらえなかったり、自画自賛しても良いことなのにポイっと捨ててしまったり・・・

では「自己評価を高める」にはどうしたら良いでしょう?

気分障害などこころの病でないとすれば、薬では改善しません。自分自身、周囲の人やものごとに対する捉え方の癖や、信念と呼ばれるルールを少しずつ変えていかなければなりません。

例えば、「自己評価が低い」と「人と比較」したり「人からの評価」が気になったりします。

「周囲の人はうまくやっている。ミスもしない」

本当にそうでしょうか?良く見てください。周りの人も必ず失敗もしますし、行き詰まることもたくさんあります。

「私は誰からも評価されない。褒めてもらえない」

実は、これまで良いことや評価されたことがたくさんあったのに、「こんなの大したことじゃない。たまたまうまくいっただけ、誰でもできるレベル」とせっかくの評価を受け取らずにきたのかも知れません。

とは言え、たやすいことではなく一朝一夕にはいきません。長い目でみていく必要があります。

 

 

先日、患者さんから1つの方法を教わりました。ご許可を頂いたのでその方法をご紹介します。それは、

「誰も見ていない所で、ゴミを拾う」こと。

「誰も見ていない所で、ゴミを拾う」とせっかくの良いことを評価するのは自分しかいないことになります。これを続けることで、人からの評価ではなく自分自身で自分を評価するトレーニングをするというものです。

これまでポイ捨てしてきた自分の良いところや良い評価を、1つ1つ拾いあげていくことのように思います。この方法が、どれ程効果があるのかは分かりません。でも「自己評価が低い」自分に向き合って、自分なりの方法を試しているということ自体が素晴らしいと思います。「自己評価」とは、自分自身への「評価」であって、それが本当の「自分自身」とは限りません。いつか、自分の悪いところだけではなく、良いところをしっかり認められるようになることを願っています。

☆今年もよろしくお願いします☆