千代田区 御茶ノ水 神田 小川町の心療内科・精神科 駿河台こころのクリニック 私には夢があります

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私には夢があります

駿河台こころのクリニックのブログ

私には夢があります

2019年12月19日

こんにちは。

あまりTVドラマは観ないのですが、珍しく「同期の桜」を毎週観ており、今日は最終回でした。毎回、感動しながら観ていました。主人公の桜が、「私には夢があります」とみんなが幸せになれる建物を造る夢を語るシーンが何度も出てきました。「ありきたりのセリフだな」と思いつつも、繰り返し言われるので「自分の夢って何だったっけ」と少し考えてみましたが、思い浮かびませんでした。思えば、夢について考えることさえも随分久しぶりでした。「夢を語る」には、もっと若くて純粋でないとと感じてしまいます(決してそのようなことはありません)。でも、「目標は」と言われると、些細なことながら幾つかあります。まあ、人様に言えるようなことではありませんので、書きませんが…

このセリフを聞いて感じたことがもうひとつありました。人を感動させるのに、特別なものは必要ないのではないか、ということです。特別な日に、特別な人にって考えると、一生懸命頭を悩ませて、何か特別なものを準備しようとします。でも、それは本当に必要なことでしょうか?

命にかかわる病気のために死が近づいている方々のサポートをする緩和ケアという仕事を始めた頃のことです。

死が迫りつつある人を何とかして元気づけるために、何か特別なもの、会話をすることを目指していました。しかし、その方の長い人生において、昔からの長い付き合いがある訳でもない私との関わりはほんの瞬間的なものに過ぎません。ですから、何か特別なことを試みては、無力感に苛まれていました。そして、いろいろな人に教わり、あることを学びました。

死を目の前にしたり、辛い思いをしていたりすると、それまで自分が仕事や家庭で頑張ったこと、良い友人との出会いなど良かったことなどがこころの奥に隠れてしまいます。必要なのは、何か特別なことではなく、その方の中にあるものを引き出すということでした。瞬間的な関わりしか持たない自分にできることは、そうしたきっかけを作ることだと気づきました。どう声をかけたら良いかと悩んでいるご家族も、近くでずっと見守ってこられた家族ならなおさらこの役目を果たすことができるのではないかと思います。

私はどこにでもいるような只のオッサンです。ですから、何か特別なこと、感動させるようなありがたいことを言うことはありません。ですが、専門医として、その方が持っているけれど気がついていないような良いところを引き出したり、それを邪魔している考え方の癖を修正したりできればと思っています。特別な能力ではなく、既に自分が持っている素晴らしいことに気づいてもらいたいと思います。

☆キャリーバッグの中でくつろぐ☆

対人緊張からこころの病に

2019年08月18日

こんにちは。

 

やっと梅雨が明けたかと思うと、今度は信じられない程の暑い日が続いています。このところ、診察の時に「暑いですねぇ」と天候の話になることがよくあります。

「我々が子供の頃は、こんなに暑かったですかね」「いいえ。昔は家にクーラーなんてなかったですよ。窓を開けっ放しにして、蚊帳をつって寝てましたよ」

そう言われて思い出しました。確かに我が家も昔はクーラーはありませんでした。蚊帳をつってましたね。キャンプのテントみたいで楽しかったです…

皆さん、熱中症にはくれぐれも注意してください。

 

さて、初診で来られた方に問診をするのですが、だいたい問診内容を決めています。その一つは「人前で緊張しやすいですか?」という質問で、社交不安について確認するためのものです。

心療内科となれば受診をためらう方も多く、しかも初対面で、どんな医者かも分からない状況なので、緊張している様子の方は少なくありません。その様子から、質問に「はい」とお答えになるだろうと予想していると、「いいえ」という答えが帰ってくることが時々あります。そこで、質問を変えて「人からの評価は気になりますか?」とたずねると、「とても気になります」とお答えになる。

いずれも質問の仕方が良くないのでしょう。「緊張する」といっても相手や状況によって異なるし、「人からの評価」は気にならない人の方が少ないでしょうし。もう少し良い質問の仕方を考えないといけません。

それでも、時間をかけて話をうかがっていくと「対人緊張」「社交不安」が強いのかどうか、あるいは「自己評価」「自己肯定感」や考え方の傾向が分かってきます。やはり、話を聴くということは重要です。

この複雑な社会の中で、人と関わらずに生きることは不可能で、当然人はそれぞれ個性があり、立場も考え方も行動パターンも違いますから、人との関わりでストレスを感じない人はいないと思います。

そのような環境において、「対人緊張が強い」ということは、電波を受信するアンテナがたくさん立っているようなもので、いろいろな電波をキャッチしやすく、ストレスを感じやすい状況にあるということです。

こうして受けたストレスにより、不眠症、適応障害、うつ病、アルコール依存症など様々なこころの病へと発展する可能性があります。ストレスを抱え込まないことがこれらの病の予防につながります。

 

…続きは次回にします。

☆ドッグランに行きました。走るというよりほとんど歩いてました☆

☆でも楽しかったみたい。5歳になりました。これからもよろしく☆

大坂なおみ選手優勝おめでとう~集中することは大切

2019年02月03日

こんにちは。

先日、全豪オープンで大坂なおみ選手が優勝しました。

テニスの技術もさることながら、本番での気持ちの切りかえ、集中力の高め方が素晴らしいのだと思います。

 

さて、人前でプレゼンをする時、ドキドキする、声が震える、顔が赤くなるといういわゆる「あがり症」の方がたくさんおられます。「緊張しちゃダメだ。リラックス、リラックス」と心の中で唱えているはずです。

確かに「緊張」の反対語は「リラックス」です。しかし、大勢の人を前にしてなかなかリラックスできるものではありません。

緊張から逃れるためには、「リラックス」ではなく「集中」することが大切です。「失敗したらどうしよう。みんなにバカにされる。あそこで聞いている部長が険しい顔をしている…」など考えている時は、プレゼンに集中できていないのです。

 

ちょうど全豪オープン決勝戦が始まった頃、近所の蕎麦屋に居ました。決勝戦は録画でゆっくり楽しもうと思っていました。

最近は、野球でもサッカーでも、スマホなどですぐに速報が流れます。結果を知らないまま、家で観戦したいと思っているのに、帰りの電車の中で「日本が勝った」という話し声が聞こえてきてガッカリすることがあります。

あの日、蕎麦屋でも同じことが起ころうとしていました。隣のテーブルのお客さんが、「大坂なおみが第1セット取ったわ」「今、2-1」「あっタイブレークになったわ」とスマホを見ながら、大声で速報を流していました。

「まずい、第3セットが終わる前に店を出ないと…」

…蕎麦を食べることに集中できませんでした。

「集中」することは大切です!

☆ごはんが出てくるのを集中して待つ☆